たんじょう秘話

ナコはだいきらいなふうせんガムを食べながら窓から顔をだして、さびしくいじわるな昨日を、上に広がる空に映しだしみてました。ちょっぴりヘコんだ日にいつも思うこと。

『目をつぶるだけで遠くへ行けたらいいのに。』

ふうせんガムは食べなれてないせいか、なかなかふくらみません。

『ぷぅ〜。ぷぅぅぅ〜ッ。』
りきみすぎて頭ガイコツが裂けそうです。

『ぷぅ〜。ぷぅぅぅ〜ッ。
   あぁっ!ふうせんガムのんじゃった〜!』

ナゼかナコのからだはどんどんふくらんでゆきます。ふくらんでふくらんでふくらんで、まるでふうせんのようになったとき、ナコは窓を飛びだしフワフワと空へ飛んでいってしまいました。
ふだん空をとびたがってたナコもじっさい飛んでみたらなにこれ!ちょ〜こわいッ。夢の世界とはうらはらな状態に、憧れも忘れかけたアイスのように溶けてしまいました。

涙も汗も吹き飛ぶ強い風に乗ってフワフワとんで、雲をつきぬけたそんなとき、いたずら蜂さんがちゃっかりナコのお腹をチクン!

『いててててて!』

ぷしゅ〜ぷしゅ〜ぷしゅ〜ん。

さあたいへん!空気がぬけてまっさかさま!
いたずらな蜂さんは市松模様の小旗をぱたぱたとっています。

でもギリでいのちびろいし、おちたそこはお砂糖の雪がふる魔法ワ−ルドでした。
ナコはきょうの夜8時、かれしのねむさまときんじょのマンモス広場で待ちあわせて、アドリブメルヘンテクノで悟りのエリアへワ−プするライヴデ−トです。
時計をみるともう7時半!はやくかえらなくちゃとあせるナコにむかって、なかよくなった魔法ワ−ルドの住人、マリちゃんはいいました。

『インタ−ネットを通じておうちに帰るといいよ!』

言われたとおりに魔法ワ−ルドのパソコンのディスプレイに魔法のピンクのセロファンを貼りつけ、ネットせつぞくスイッチをおしてみると、なんてことでしょう。
ふきそくに屈折するひかりに包まれたとおもったら、かげろうを残してナコのからだはみるみるパソコンの箱のなかに吸いこまれ、あっという間にバレンティ−ナちゃんの姿に変身してしまいました。

それからというものナコは、バレンティ−ナちゃんとして七色の尾をひいたトゥインクルスタ−バイクに乗ってネット空間を自由自在に行き来できるようになったのです。


デ−トは間にあったのかって?
さあ、どうかな。ちゅうちゅうちゅう。

おしまい。



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